BMW C1純正トップケースの補修レポート

2023年10月に承ったBMW C1(Family’s friend)整備に関連して、ガイドが破損したBMW純正トップケースの補修を実施いたしました。今回は、その整備事例についてご紹介いたします。


すでにご存知の方には説明するまでもありませんが、C1の後部には、いくつかのキャリング・ツールを簡単に取り替えできる機能が装備されています。
*キャリング・ツールはオプション扱いです。

例えばタンデム用にパッセンジャー・シートを装着したり、ニーズに合わせてリヤキャリアやトップケースを選んで装着できるように工夫されています。それらのツールの中でもトップケースは収納容積が大きく積載能力の高くないC1にはもってこいのアイテムで、当店で人気の高いツールの一つです。しかしトップケースは残念なことにBMWからの製品供給が途絶えており、補修部品も含めて入手困難な状況が続いております。
*BMWには、せめて補修パーツだけでも供給を再開していただきたいと強く要望します*


今回のご相談は「トップケースのガイド部分が左右とも破損してしまい、C1にトップケースを固定することが不可となってしまって困っている、なんとかならないか?」という内容です。本来であれば補修部品でトップケースの底部のみ交換すれば処置完了となるのですが、前述のとおり、BMWからのパーツ供給が停止されておりますので何か別の方法で補修を施さなければなりません。

私のアイデアとしては金属のパネルを加工して、折れてしまったガイドに代わる突起をこしらえたらどうかと。その突起を加工したパネルをトップケースの底面に取り付けようと考案いたしました。


まず、浮かんだアイデアをもとにして薄いアルミ板でガイドパネルの型取りをしました。
型取りをした板を基にして4.5mm厚のアルミ板を加工しました(白い板状の金具を考案・試作)。
破損した元のガイドはそれなりに厚み(高さ)があります。ガイド役の金属パネルだけではC1と嵌合する際に発生する隙間を埋められませんので写真のようにラバー(ゴム足)を駆使してガイドと同等のテンションを得ようと考えました。
トップケースの底面に加工したガイドパネルを取付けようとすると段差があるために底面と平行に固定できません。そこで段差分の厚さのアルミ角材を配してトップケースの底面とガイドパネルを共締めしました。
最も気をつけた点は、トップケースをロックする機構を基準にしてガイドパネルの突き出し量を最適値に決めることでした。このように加工したガイドパネルを破損したトップケースに取付けて完成しました。耐腐食性を考慮して部材はアルミ材A5052とステンレスボルトを使用しております。

現在、このように補修を施してオーナーの元で実際にご使用いただいております。
オーナーから「トップケースが元のようにしっかり固定できており、ひとまず安心して走行できた」とのファーストインプレッションをいただきました。
今後、何か不具合が発生する可能性はゼロではありませんが、末永くご愛用いただけるよう随時改善処置を施して参ります。
【整備参考費用】
BMW C1純正トップケース装着ガイド補修パネルのワンオフ制作及び取付け加工費
税別¥30,000
(2024年5月以降の受注分より価格改定させていただきます詳細はこちらをご覧願います。)
*トップケースの送料などは別途必要です。
*作業時間 1週間~10日程度
*なお、今回のレポートおよび写真は、オーナーのご承諾をいただき情報公開させていただきました。


© 2023 KAZ’ Service Factory.